2006.11.06

ソニー損保とあいおい損保の違い

ソニー損保からの回答を「誠実」だと言ってはみたものの、それでも彼らは、評価損の認否は「ケースバイケース」とするだけで、いかなる言質をもとられないようにしているわけなので、その意味で小ずるいといえば小ずるい対応である。

ただ、彼らは、評価損についての判例や学説や実務の動向を、自分たちの支出増につながる事実も含めて知らせてくれたという点で、「誠実」な対応だと思っている。あいおい損保が、被害者に虚偽の情報を与えて、請求自体を封じ込めようとしたのとは大違いである。

うがった見方をすれば、評価損をめぐる裁判で勝訴したと自己主張している客からの問い合わせなのだから、知識があるはずに違いなく、ここは下手に繕わない方がよいと思っての回答だったのかもしれない。

なので、もし何の知識もないように装って問い合わせをしたらどうなるのかは、気になるところではある。それでも同様の回答だとしたら、損保として本当に立派な被害者対応だと思うのだが。

何と言っても、あの日本損害保険協会の会員企業なので、ちょっと意地悪な気持ちになるのである(笑)

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2006.11.05

ソニー損保の回答

なんと、前回紹介した質問のメールを送ってから、わずか24時間以内に返信をもらうことができた。

このたびはお問合せいただき、誠にありがとうございます。ソニー損保 one on one ご契約者デスクでございます。 お問合せいただきました件につきまして、ご回答申し上げます。

ご質問いただきました評価損(格落損害)の考え方は極めて難解な問題であり、学者でさえも、裁判所でさえも分かれることを考慮すれば一件、一件、それぞれに考えざるをえない現状にあります。

判例が統一化されていない現状では、ソニー損保の案件も認定したもの、 否認したものに分かれております。

基本的考え方は、後述の損保業界の傾向と同じですが、かといって全ての案件がこれには該当しませんので案件ごとの判断となります。

ケースバイケースではなくとのご要望ですが、あらゆる考え方を考慮しながら一件ごとの判断とならざるを得ないという回答になりますのでご理解いただけますようお願いいたします。

なお、学者の見解、裁判例の傾向、自動車販売業界の傾向、損保業界の傾向等、まとめてみましたのでご参考にしてください。

*学者の見解−−学者間でも分かれています。

認容説 − 修理後、不具合が無くとも経年的に不具合が起こりやすくなることは実際の不具合である。使用価値が減損してそれが交換価値にも反映するのだから(下取り時の減価)、格落を認めないことは理由に乏しい。

否認説 − 将来起こるであろう格落損害は、可能性にとどまるのみであるから有限な賠償可能額の点からも問題です。また、車の使用は、あくまで使用利益に尽きる。事故が起きてから直ちに車が商品性を帯びて商品価値の下落について賠償を求めるのは健全思考とはいえない。

*裁判例の傾向
裁判例の約68%は認定しており、どちらかというと認める傾向にある。

認定された要件を要約すると、修理しても技術上の限界から回復できない欠陥(潜在的含む)が残存した場合。中古車市場での事故歴標記での売買価格下落。評価損(格落損)は「潜在的欠陥が残っていることに対する市場の評価」である。

一方、否認された理由には、修理がされた以上、客観的な価格の下落は肯定すべきではない。買い替えを予定しない場合にも買い替えを認めたのと同一の利益を与えたことになる。(買い替え予定ありは認定)

*自動車販売業界の傾向
事故による修復歴車には、自動車公正取引協議会が定めた基準に従って事故修復歴車であることを公表して販売するようにしている。当然、修復歴車には値引きが行われている。

*損保業界の傾向
「機能部品の集合体である自動車については現代の発達した修理技術によって現状回復は十分可能であり観念的には価値が減少することはあっても、具体的・客観的に損害が生ずるのは極めて例外的なことである」という学者の見解とか、判例要旨に基づいた考え方が強い。

いずれにいたしましても、ケースバイケースというご回答になってしまい、誠に申し訳ございませんが、何卒ご了承くださいますよう、お願い申しあげます。

ソニー損害保険株式会社
one on one ご契約者デスク                  

私は、きわめて誠実な対応だと思ったのだが、どうだろうか。

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2006.11.04

ソニー損保への問い合わせ

前回の続き。というわけで、HPで公開されていた、契約者向けのメールアドレスに送ったのが以下の内容。ちなみに、問い合わせ先がわかりやすく明示されているのは、それだけでかなりポイントが高い。試しに、お時間があればあいおい損保でも探してみてください(笑)

Subject: 評価損(格落ち)についての対応方針の問い合わせ

ご担当者様

こんにちは。大変すばらしいサイトですね。貴社の顧客志向には大変感銘しております。

さて、現在、私は貴社の自動車保険に加入しており、まもなく更新時期を迎えるのですが、更新手続を行う前に、いわゆる「評価損(格落ち)」賠償についての貴社の対応方針につき、確認させていただきたいと思います。

というのも、昨年、私自身が追突事故の被害に遭い、それによって発生した、いわゆる「取引上の評価損」について相手方のA損保に請求をしたところ、「評価損(格落ち損)についての裁判の判断は、修理後において 、1新車購入直後の車、2機能的障害が残存した場合、3外観が著しく損なわれた場合、に限定して認定をしており、一般的には評価損は認められていません」として、支払を拒否されました。なお、私自身に過失がなかったため、貴社に交渉を依頼することはできませんでした。

なお、被害を受けたのは、新車登録後約9ヶ月、走行距離約4600kmの日産ティーダで、損害の程度は、中古車販売時に「修復歴」ありと表示される部類のものでした。

上記のような経緯でA損保に支払を拒否されたため、やむをえず私自身で提訴した結果、先日、東京地裁で取引上の評価損を認容する判決を得ましたが、現在もなお、東京高裁における控訴審で係争中です。

この場合は私が被害者だったのですが、もし逆に私が加害者の立場であれば、加入する保険会社(=貴社)にA損保のような対応をされたら、たまったものではありませんので、万が一のときのために、「取引上の評価損」についての貴社の対応方針をお知らせいただければと思います。ケースバイケースという回答ではなく、このような場合は支払い、このような場合は支払わない、という指針をいただければ、検討時の参考になりますので、非常に助かります。

以上、よろしくお願いいたします。

mits(←本名)
証券番号 ××××
満期日  平成18年12月×日

さて、顧問弁護士から返事がくることになるのかな?(爆)

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2006.11.03

更新しようか、どうしようか

まもなく私の自動車保険の更新時期を迎える。現在加入しているのはソニー損保。評判は悪くはないし、いまのところ特に不満もないのだが、評価損について欺瞞に満ちた説明を載せたブックレットをばらまいている(以前のエントリ参照)、あの日本損害保険協会の会員企業なのが問題である。

その一方で、ソニー損保は「お客様とソニー損保のコミュニケーションサイト」を設置し、そのサイト内では、顧客からの厳しいクレームも積極的に公開している。こうした顧客本位な姿勢は、あらゆる企業が手本にすべき、素晴らしいものであると思う。

ただし、ここで公開されているお客様の声をひととおり検索してみたが、評価損についての声は全く見あたらない。無いわけないと思うんだけどなー。

と思った私は、評価損についての見解を、ソニー損保に直接問い合わせてみることにした。

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2006.05.04

評価損の定義がおかしい

前回の続き。

ここでもういちど、以前、別冊判例タイムズの内容を紹介した記事を読んでいただきたい。

読んでいただければわかるように、別冊判例タイムズでは、評価損には「技術上の評価損」と「取引上の評価損」があると、きわめて明快に整理されているのだが、損保協会のブックレットのQ&Aで取り上げられているのは、「技術上の評価損」のことだけである。「取引上の評価損」については、一切触れず、「『格落ち損害』とは〜をいいます」と、「技術上の評価損」のこととして断定的に定義してしまうのは、いかがなものだろう。

「お客様からの声を生かしてさらに対応の充実を進めます」ということらしいが…

ちなみに、この社団法人日本損害保険協会の役員一覧を見てみると、会長の児玉氏は、あいおい損保の社長である。ま、業界団体に対して公平な情報公開を期待するのは無理な話なんだろうが、あからさまに不利な情報を隠蔽するやり方には、やはり反発を覚える。

次回の自動車保険更新時には、この損保協会の会員になっていない会社に変更しようと強く誓ったのである。

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2006.05.03

日本損害保険協会

評価損について、日本損害保険協会の見解を求めてみるのはどうかと思って、協会のHPを検索していたところ、今年4月20日、「損害保険相談事例200問200答」という冊子を発刊したとのニュースリリースが出されていた。「お客様からの声を生かしてさらに対応の充実を進めます!」とのことだそうだ。ずいぶん誇らしげだ。

この冊子はPDFでダウンロードできる。早速見てみたところ、評価損(格落ち損)について、以下のような記述を見つけることができた。

Q120 車両の「格落ち損害」とはどのようなものですか。

■「格落ち損害」とは、事故により車両を修理しても、外見上、機能上原状回復ができず車両の価格あるいは評価が下がる場合の価格の減少損害をいいます。

■現在では修理技術の発達により、ほとんどの場合、損傷した車両の原状回復が可能であり、格落ち損害の発生するケースが少なくなっています。

え、これだけ? そう思ったあなたは、このブログをよく読み込んでますね?(笑)

社団法人日本損害保険協会による、この冊子のこの記述は、あいおい損保の回答書と同じく、自分たちにとって不利な事実を、意図的に隠蔽しているものであると言ってもいいだろう。

謎解きは次回。

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