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2005.06.23

原状回復とは?

昨日のブログで触れた、平成16年12月17日の大阪高裁判決についての説明を加える前に、そもそも原状回復とは何か?というところから整理しておきたい。そうしないと、なぜこの高裁判決が画期的なのか、うまく伝わらないような気がする。

「原状回復」とは、その言葉から素直に伝わってくる印象とは異なり(だからトラブルになるのだが)、入居時のまっさらな状態に戻すことではない。

建物の価値は、居住の有無にかかわらず、時間の経過により減少する【→経年変化】ものであること、また、物件が、契約により定められた使用方法に従い、かつ、社会通念上通常の使用方法により使用していればそうなったであろう状態【→通常損耗】であれば、使用開始当時の状態よりも悪くなっていても、そのまま賃貸人に返還すれば足る(「賃貸住宅の原状回復をめぐるトラブル事例とガイドライン」P15)

というのが、判例通説である。

別の言い方をすれば、この「経年変化」と「通常損耗」による価値の減衰を織り込んだうえで家賃を設定しているのだから、これらの回復を借主の負担にするのは、二重どりで大家丸儲けだろう、と言うわけである。

時が経てば、当然、壁紙は日焼けもするだろうし、普通に住んでいたら、カレンダーやポスターぐらいピンで壁に貼るだろうから、それまでを借主の負担とするのは、おかしい、というのが、判例通説の立場である。

なので、借主が負うべき原状回復義務とは、借主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等ということになる。

ただ、どこまでを「経年変化」「通常損耗」「故意・過失」「善管注意義務違反」ととらえるかについては、個別具体的な問題になるがゆえに、トラブルも多いので、判断基準をブレークダウンしておきましょう、という趣旨で、国土交通省が「原状回復にかかるガイドライン」を公表するに至ったのである。

で、次に問題になるのが、じゃあ、その基本的な考え方と違う契約を結んだら、それは有効かどうか?ということであるが、それについては、長くなるので、また次回。

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