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2005.07.21

少額訴訟についての貸主の意見 その2

昨日の続き。で、貸主の珍妙な返答に対し、私からは以下のようなメールを送った。

第19条のことをおっしゃっているのかとは思いますが、借主が敷金返還訴訟を起こす場合、簡易裁判所への少額訴訟を妨げるような契約文面にはなっておりませんので、この点は、ご理解ください。

きわめて冷静でしょ(笑)

ところが、これに対する貸主の返事はこうだった。

少額訴訟をmitsさんが切り出した事についてどのような意味があるか理解に苦しむところもありますが(契約書の内容に沿ってお話をしているつもりです。御納得頂いた上の署名捺印、しかも御実印を印鑑証明添付しての契約です。)何らかの行き違いで少額訴訟の提訴をすると言う事であれば、当社としては誠意を持って契約に基づいて賃貸借の作業を行ってきているつもりですし後ろめたい事は何もありませんので受けて立つ用意はあるのですが、ただ、少額訴訟の欠点として結審を急ぐあまり契約の内容他、十分な審理がなされないで判決が出ることが多くあるように思いますので裁判所に充分な審理をしてもらい双方が納得できるよう少額訴訟を本訴に切り替えてもらい対応するつもりです。(この場合少額訴訟での審理は中断し本訴での審理となります。)時間と費用は掛かりますがこちらの方がより公正な判断を仰げると思います。何も少額訴訟を妨げる訳ではなく仮にmits様が少額訴訟に踏み切るのであれば当社としては扱いを簡易裁判所から管轄地方裁判所へ本訴として切り替えてもらうように提訴すると言う事だけですのでご理解ください。

おいおい、契約書の話はどこに行ったのかなー?(苦笑)

ようやくちょっとは勉強したようなのだが、「扱いを簡易裁判所から管轄地方裁判所へ本訴として切り替えてもらうように提訴する」という点は、まだ認識違いがあるようで…

だんだん私も感じ悪くなってきたかな? 前から?

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2005.07.20

少額訴訟についての貸主の意見 その1

以前、貸主に対して、少額訴訟も辞さない旨のメールを送ったときの、貸主からの返事は以下のとおりだった。

尚、少額訴訟云々との事ですがご理解頂けない場合、当社としては契約書中にあるように少額訴訟ではなく本訴として管轄地方裁判所において判断を仰ぎ対応致します。

ここで貸主が言うところの契約というのは、

第19条 本契約から生ずる権利義務について争いが生じたときは、本物件の所在地の裁判所を第1審の管轄裁判所とする。

である。

ところが、少しの法律知識と国語力がある人間が、ちゃんと考えてみればわかることだが、この契約文言が意図するところは、例え借主が本物件を退去後に沖縄に引越した場合、近いからといって沖縄の裁判所で訴訟を起こすのではなく、本物件のある東京の裁判所にしてくださいよ、ということである。

なので、少額訴訟or通常訴訟、という話ではないし、しかも、40万円ほどの案件であれば、地方裁判所ではなく、簡易裁判所で扱うことになるので、二重の意味で間違っている。

さらに言えば、この文言について上記のような正しい解釈をしたところで、それにはたいした拘束力はないのである。債権者(借主)が債権を返せという場合、債権者がわざわざ債務者のところに出向いて裁判を起こさなければいけない、というのは、明らかにおかしい(でしょ?)。なので、こんな契約文言は無視して、引越し先の裁判所で提訴すればよいのである。(続く)

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2005.07.19

少額訴訟 or 通常訴訟

さて、いよいよ訴訟の準備を始めたわけだが、少額訴訟制度を利用するか、通常訴訟にするか、少し悩んだ。

少額訴訟の特徴としては、以下のような点が挙げられる。

○60万円以下の金銭支払い請求に限る
○審理は原則1回、直ちに判決言い渡し
○証拠書類や証人は、審理の日に調べられるものに限る
○少額訴訟判決に対する不服は異議申し立てに限る
○手数料は、訴額10万円までごとに1000円

このような比較的少額の金銭支払いを請求する裁判だと、弁護士に依頼すると費用対効果が合わないため、本人による訴訟を前提として制度が組み立てられている。法律の知識に乏しい人でも気軽に裁判手続きを利用できるように、典型的な少額訴訟案件である敷金返還については、裁判所に訴状の雛形が用意されているなど、かなりユーザーフレンドリーな制度である。てなわけで、敷金返還関連の本を読むと、少額訴訟を勧めているケースが多いのだが、もちろんその一方でデメリットも存在する。

というのも、原則1回の審理、ということは、こちらの訴えに対して、相手が提示してくるであろう反論に対する再反論とその証拠を、あらかじめ用意しておかなければならないのである。完璧な準備ができればよいのだが、準備不足で、結果的に、不完全燃焼の結論になってしまう可能性もなくはない。

敷金返還訴訟の場合、借主が物件を明け渡している以上、貸主側が借主の原状回復義務に基づく債務の存在を立証する責任を負っているのだから、言ってみれば、相手の出方をうかがって、それに対して時間をかけてきっちり準備をしたほうがよいのである。

私も、大学ではいちおう法律を学んだ身でもあるし、本人訴訟だからといって、怯む要素は一つもないので、ここは通常訴訟で徹底的に白黒つけてみたいと思い、通常訴訟を前提で準備を進めることにした。

昨日、4時間かけて訴状を書き上げた。現在弁護士によるチェック中。訴状の内容を公開するのは、提訴後になるかもしれない。

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2005.07.11

行政指導の要請書

弁護士の友人と相談した結果、許認可権を持つ監督官庁である東京都都市整備局不動産業課に対して、不動産業者(=貸主)に「行政指導」を要請する内容証明を送ることになった。この内容証明も、提訴時に証拠として利用する予定。いろんな手があるもんですなぁ。

行政指導の要請書

東京都知事 御中
東京都都市整備局不動産業課 御中

弁護士 ○○○

当職は、下記依頼者から、敷金返還請求につき、委任を受け、下記不動産業者との返還交渉に当たっています。

依頼者が、平成17年6月23日、下記不動産業者に対し、敷金返還を求めたところ、下記業者は、賃貸前の原状に回復させるための工事(原状回復工事)費用による精算という名目に基づき、敷金の返還を全て拒絶した上、逆に、申請人に対し、同費用名目に基づき敷金を超える金員をさらに要求してきました。

このような賃貸物件の通常使用による損耗の回復費用負担を借主である申請人に転嫁させるという当該業者の対応は、消費者契約法第10条に違反する行為であり(大阪高等裁判所平成16年12月17日判決参照)、また国土交通省の原状回復に関するガイドライン及び御庁の定める賃貸住宅紛争防止条例の趣旨にも反することは明らかです。

したがいまして、当該業者に対し、業務改善命令等適切な行政指導をお願い申し上げます。

なお、行政指導の内容及びその結果につき、当職までお知らせ下さいますよう併せてお願い申し上げます。

1 依頼者
○○○○(私の名前)

2 不動産業者
商号 ××××
本店 東京都××
登録免許番号 東京都知事免許(3)第×号
代表者 ××××

以上

早く訴状の準備を進めないと…

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2005.07.05

減価償却についての貸主の持論

昨日の続き。精算書が届く前に私から貸主に送ったメールから、減価償却に関わる部分を抜粋する。

なお、退去時に申し上げたかと思いますが、精算案の作成に際しては、国土交通省のガイドラインにしたがった内容であることを期待しております。例示すると、たとえ原状回復費用の一部が借主負担であると判断される場合であっても、2年1ヶ月分の賃料による減価償却分を考慮した内容にするなど、基本的な部分での誤認がないようにお願いいたします。

これに対する貸主の返事は下記のようなものだった。

…はmitsさんの言われる減価償却にはあたりません。契約書中に善管注意義務と言う項目がありますが退室立会い時に申し上げた通り居住中の不注意により原状回復することになった部分です。
(中略)
当社は通常例えばクロスの貼り替えなどについて居住者が善管注意義務に基づいている場合当然耐用年数を考慮して貸主、借主の負担割合を算出しております。今回東京ルールが出来た事により算出の参考例を契約書に記載するように致しました。なるべく借主の方にも気持ちよく退去していただき、トラブルが無いように考えている為です。mitsさんにご理解頂けないのであれば仕方ありませんが借主としての権利(少額訴訟等)を主張する前に借主としての義務(善管注意義務等)も御考慮頂ければと思います。

つまり、善管注意義務違反があったと貸主は判断しているのだから、その部分については、減価償却うんぬんの議論はあてはまらないので、原状回復費用は全額払え、というわけである。

しかし、借主側の責任の有無と、減価償却を考慮に入れて残存価値を算出することは、先日のエントリで書いたとおり、まったく性質の違うものなのだが、貸主は、おそらく無自覚に、この両者を混同してしまっている。

私自身、善管注意義務違反があったともなかったとも、このメールではまったく触れていないどころか、丁寧に「原状回復費用の一部が借主負担であると判断される場合であっても」とまで書いてあるのに、この違いを理解できていないのは、

(a)それでメシを食っているプロフェッショナルとして不勉強である
(b)理解力そのものに乏しい
(c)その両方

のいずれかだろう。

そして、どうやら私は、

(a)プロのくせに勉強しない
(b)そもそも理解力が乏しい
(c)-1自分が(a)(b)の両要件を満たす存在であることを自覚していない
もしくは、
(c)-2自分が(a)(b)の両要件を満たす存在であることを自覚しているが、それに恥じいることなく、開き直っている

という三拍子揃った人種が大嫌いみたいだ(どれか一つなら別にいい)。

このブログは、客観的にできるだけ感情を抑えて書こうと思っていたが、だいぶ怒りモードに入ってきたので、今日はこのあたりで終わりにしておこう。

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2005.07.04

請求書の内容

あらためて請求書の内容を紹介しよう。

床フローリング補修工事一式 53,000円
木部塗装・補修工事一式 55,000円
クロス貼り替え工事
ー玄関ホール壁 11平米
ー同天井 3.5平米
ーLDK壁 65平米
ー同天井 18平米
ー洋室壁 36平米
ー同天井 14平米
ークローゼット内部 23平米
ー洗面所壁 16平米
小計 186.5平米 × 単価900円 = 167,850円
ハガシ及び下地補修 186.5平米 × 単価150円 = 27,975円
残材処理一式 7,500円
諸経費 6,000円
鍵交換費用一式 10,000円
室内クリーニング一式 58,000円

小計 385,325円 + 消費税19,266円 = 合計404,591円

細目はさておき、貸主と借主の負担割合さえ書いていないということは、業者に支払った費用を全て借主に押し付けようという魂胆であるようだ。

しかし、ガイドラインを理解している貸主であれば、借主の責任の割合、および、減価償却による残存価値の割合を考慮に入れて請求書をつくるのが通常である。

クロスの貼り替えを例にとると、善管注意義務違反などで、たとえ借主に100%責任がある場合でも、2年1ヶ月ほど住んでいたら、クロス自体が2年1ヶ月ぶん減価償却されてしまっており、そしてその減価償却分は賃料に含まれているので、借主は残存価値にあたる部分を負担すれば足りるのである。

たとえば、クロスだと、6年で残存価値が10%になるような直線(定額法)で減価償却されるので、2年1ヶ月の居住の場合は、貼り替え費用の68.75% (=100%- (25÷72ヶ月)×90%) で足ると解するのが相当だろう。

しかしまぁ、天井のクロス貼り替えなど、善管注意義務違反のしようがない(!)部分まで請求しているので、もうまったく論外である。

減価償却の考え方については、貸主にあらかじめメールで質問をしたところ、珍妙な回答を受け取ったので、次回はその内容を紹介しよう。

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2005.07.02

室内クリーニング特約に関する判例

貸主が室内クリーニング費用について、「実印押したでしょ!」って言っているのは、契約書類の下記の条項を根拠にしていると思われる。

【賃貸借契約書第11条】
乙は(中略)次に掲げるものの費用を負担するものとする。
(3)本契約終了・明渡しの際の室内清掃費用。

【貸主、借主の修理・取り替え負担範囲(に関する別書類)】
借主の負担で行う修理・取替え等
1.別表における修理・取替え項目(←これがまたくせ者)
2.室内全般クリーニング

これをもとに、「借主負担でしょ!」と言って、クリーニング代58,000円の請求書を押し付けてきているのである。

ところが、室内クリーニングの特約については、判例(平成16年10月29日東京簡裁)がある。

クリーニング費用の負担についての条項には,単に「・・借主負担とし・・」とする合意があるが,どういう条件のもとで,費用がどのくらいかかるかも不明な内容の契約であるから,明確性に欠け,賃借人に著しく不合理なもので合理性がないと言わざるを得ない。したがって,この条項は,合理的解釈のもとではじめて認められるもの,即ち,賃借人が明渡しに当たって通常求められる掃除やクリーニングをしていない場合にこれを認めるものとし,そのクリーニングの方法,箇所,その費用が相当であるかどうかを総合して決められるものと解される。

ちなみに、この判例における解釈は、消費者契約法ではなく、6月24日の記事で紹介した、「特約が成立する3つの要件」を根拠にしている。

しかし、思考停止の貸主は相変わらず契約文言(と日本人の美徳)をタテにしているわけだが、ここまではっきりと契約文言自体が「著しく不合理」だと言われると、ぐうのねも出ないだろうね。

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