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2006.04.01

【判決解説その1】結露

数回に分けて、判決の内容を詳しく紹介していく。まずは貸主がずいぶんこだわっていた結露について。

玄関カビの発生は,結露によるものと推認されるが結露の要因は主として建物の構造的なものであり,賃借人の使用管理程度が要因となるのは副次的のものといえよう。

セオリーどおり、結露の主要因は建物の構造にあるとしたうえで、続いて、借主の使用管理程度を検討している。

そこでカビの発生について検討するに,…結露が発生した場合は賃借人が賃貸人に連絡するように説明されているのもかかわず通知を怠たり,拭き取るなどの手入れを怠り…カビによる損害を拡大させてしまったものと推認できる。…原告が入居する前は…カビの発生はなかったことからも原告には善管注意義務違反があったと考えられ,クロスの張替について相当の範囲で負担すべきであるといえる。

なるほど。

そして,その範囲は玄関部分の壁部分に限られるから1万0395円(消費税込み)は原告の負担とするのが相当である。

要は、

■玄関壁クロス(900円×11平米+消費税)の張替費用については100%が借主の負担である。
■ハガシ及び下地補修、残材処理、諸経費等の請求は認めない。

ということである。その他の部分については、以下のように切って捨てている。

そのほかについては,本件物件は原告によって社会通念上通常の方法により使用され自然ないし通例的に生ずる損耗以外に悪化していることを認めるに足りる証拠はない。

つまりは、

■天井や他の部屋やクローゼットのクロス張替費用の請求は認めない。
■建具の塗装費用の請求は認めない。

ということになる。

それはよいにしても、私にしてみたら、玄関部分については、

1. 実際カビがあったと被告が主張しているクロスの実面積は11平米ではなく7平米であり、水増し請求である。
2. 賃料で減価償却された部分を控除した残存価値を上限にすべきである。
3. 構造に起因する部分もあるのだから、貸主側にも一定の責任の割合がある。

と、主張したいところであるが、認められたところで、どうせ数千円の減額にしかならないので、わざわざ私から控訴するほどのことはないとは思っている。

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受信: 2006.04.02 08:58

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