2006.04.05

【判決解説その5】遅延損害金

判決では遅延損害金(金利)も合わせて返還することが命じられている。以前、その金額について読者からコメントがあったが、あらためて整理してみよう。

■敷金元本 29万5787円
→約定金利 日歩5銭 平成17年4月22日〜 

■過払賃料元本 5万1097円
→法定金利 年5分 平成17年3月23日〜

日歩5銭というのは100円につき毎日5銭ということなので、年率に換算すると、

0.05円 ÷ 100円 × 365日 = 18.25%

ということになる。

この低金利時代に何て効率の良い運用方法!

この金利分がいくらになっているのか、エクセルで簡単なワークシートをつくって計算してみたところ、敷金と過払賃料にかかるそれぞれの金利を合わせて、本日現在で5万4113円になり、私が原状回復費用として負担すべきとされた3万8213円を既に大きく上回っている。

もちろん、これに加えて、判決確定後には訴訟費用の被告負担分として3万円程度を請求することになるだろう。

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2006.04.04

【判決解説その4】鍵交換費用

鍵交換費用については、請求を認めないのは当然ながら、そのロジックが予想外だった。

賃貸借契約書には鍵の交換について特別な定めはないが,重要事項説明書(甲1の3)に「退去時に鍵交換費用として1万円(税別)かかります」と記載されているが,これは賃借人が負担を承諾したものとは解せられない。むしろ,鍵の交換は,当該物件についての安全管理上の問題であり,賃貸人の負担とすると解するのが相当である。

つまり、そもそも「合意」があったとはいえない、という判断である。

私は、たとえ合意があったとしても消費者契約法違反であると主張していたのだが(原告準備書面3のP4参照)、その前の段階で門前払いをされてしまった印象。

なるほど、そういう逃げ方もあるんだなぁ、と妙に感心してしまった。

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2006.04.03

【判決解説その3】クリーニング

クリーニング費用については、まったく予想どおりの結論だった。

本件賃貸借契約書(甲1の1)によれば,「本契約終了・明渡しの際の室内清掃費」は賃借人の負担とする旨定められている[第11条2,(3)]。ところで,建物は経年劣化によって減価していくことは当然であり,その期間賃貸人は賃料収入を得ているから賃貸借終了後に建物を賃貸借契約開始時の状態に復帰させることまで要求することは当事者の公平を失するといわざるを得ない。したがって,この特約は,賃借人の故意,過失に基づく毀損や通常でない使用方法による劣化等についてのみその回復を義務づけたものと解するのが相当である。

たとえクリーニング費用を借主負担とする特約があったとしても限定的な解釈が必要であるという、これまでの各種判例の流れに沿った判断が示されている。つまり、貸主が何度も繰り返し言っていたような「大の大人が(上場企業の管理職が)ハンコを押したのだからそれに従え」という主張は認められないということである。

玄関・洗面所・浴室・居室・洋室・トイレ・廊下等の清掃は通常の使用方法を超えた毀損,劣化があったとは認められず,専門業者の清掃クリーニングを行うまでの必要性はないといえる。

私の提出した退出時の写真(甲第10号証)が効いたのだろう。それはもう一生懸命掃除したのだから!

クリーニングを借主が実施することは「日本の伝統的美徳に基づく慣習的な事」と主張していた貸主はどう思うのだろう。

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2006.04.02

【判決解説その2】フローリング

今回はフローリングの補修費用について。

原告の入居時にはフローリングは補修のうえで引き渡されており,…フローリング補修については,各部屋には全体に傷や凹みが多数ある中で洋室のシミ跡や居間のペンキ跡,台所の家具の移動によると思われる傷や不注意による落下物によると思われる凹みなど,いずれも通常の使用方法によらない損傷であると認められる。

う〜ん、これはちょっと待ってほしい。LDK部分については確かに全面張り替えされていたらしいが、洋室部分については張り替えはされていないことを、被告自身が法廷で証言している。これをまとめて「入居時にはフローリングは補修のうえで引き渡されており」としてしまうのは、いささか乱暴な事実認定のような気がする。

ところが、以下のように続くのである。

そして,その修理費用は5万5636円(消費税込み)のうち5割の2万7818円は原告の負担とするのが相当である。

出た〜! 必殺技「どんぶり勘定」。全く根拠を明らかにしないままに、5割を「原告の負担とするのが相当である」と断定。きっと1つ1つの傷について検討するのが面倒だったに違いない。

この前段の文章も理解しづらいのだが、「全体に傷や凹みが多数ある」うち、その半数程度は「通常の使用方法によらない損傷」である一方、残りの半数は通常の使用方法によるものだと認定できる、ということなのだろうか。

こういうアクロバティックな結論が用意されていたからこそ、LDKと洋室を区別する必要はなかったんだろう。

それにしても、法律家が使う「相当である」という言い回しは、理系には我慢できない代物だと思う。私も大学時代、法学部で法律を勉強しながらも、かなりの違和感を覚えたものである。

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2006.04.01

【判決解説その1】結露

数回に分けて、判決の内容を詳しく紹介していく。まずは貸主がずいぶんこだわっていた結露について。

玄関カビの発生は,結露によるものと推認されるが結露の要因は主として建物の構造的なものであり,賃借人の使用管理程度が要因となるのは副次的のものといえよう。

セオリーどおり、結露の主要因は建物の構造にあるとしたうえで、続いて、借主の使用管理程度を検討している。

そこでカビの発生について検討するに,…結露が発生した場合は賃借人が賃貸人に連絡するように説明されているのもかかわず通知を怠たり,拭き取るなどの手入れを怠り…カビによる損害を拡大させてしまったものと推認できる。…原告が入居する前は…カビの発生はなかったことからも原告には善管注意義務違反があったと考えられ,クロスの張替について相当の範囲で負担すべきであるといえる。

なるほど。

そして,その範囲は玄関部分の壁部分に限られるから1万0395円(消費税込み)は原告の負担とするのが相当である。

要は、

■玄関壁クロス(900円×11平米+消費税)の張替費用については100%が借主の負担である。
■ハガシ及び下地補修、残材処理、諸経費等の請求は認めない。

ということである。その他の部分については、以下のように切って捨てている。

そのほかについては,本件物件は原告によって社会通念上通常の方法により使用され自然ないし通例的に生ずる損耗以外に悪化していることを認めるに足りる証拠はない。

つまりは、

■天井や他の部屋やクローゼットのクロス張替費用の請求は認めない。
■建具の塗装費用の請求は認めない。

ということになる。

それはよいにしても、私にしてみたら、玄関部分については、

1. 実際カビがあったと被告が主張しているクロスの実面積は11平米ではなく7平米であり、水増し請求である。
2. 賃料で減価償却された部分を控除した残存価値を上限にすべきである。
3. 構造に起因する部分もあるのだから、貸主側にも一定の責任の割合がある。

と、主張したいところであるが、認められたところで、どうせ数千円の減額にしかならないので、わざわざ私から控訴するほどのことはないとは思っている。

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2006.03.31

判決正本

判決正本が届いた。
※例によって原本をOCRで読み込んで、個人情報を消去したうえで、PDFで公開する。

原告が負担すべき原状回復費用とされた3万8213円の内訳について、いろいろ考えをめぐらせていたのだが、実際の判決の内容は想像とは若干異なっていた。

詳しくは判決文を参照していただきたいが、簡単に言えば、私が負担すべき費用は、

■玄関壁クロス張替費用の全額 1万0395円
■フローリング補修費用の半額 2万7818円

の2つだった。裏を返せば、玄関壁以外のクロス張替費用とか、塗装費用とか、クリーニング費用とか、鍵交換費用は、いっさい認められなかったということになる。

認められた部分について、私なりの反論はあるのだが、それは万が一控訴された場合の付帯控訴のネタにするとしよう。

それにしても、かなりどんぶり勘定で、官僚的な印象を受ける判決。私の主張が足りなかったのか、それとも、裁判官がよっぽど面倒くさかったのか(笑)

今後しばらくは判決の内容を精査していくことにする。

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2006.03.30

特別送達

留守中に裁判所から特別送達が届いたようで、不在票がポストに入っていた。判決正本に間違いないだろう。

なんとか明日中に受け取って、このブログで判決の内容を紹介しようと思う。

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2006.03.25

またまた切手の追納

書記官から自宅の留守電にメッセージが入っていたのだが、なんでも切手が630円分足りないらしく、判決文が送達できないらしい。そんなことは早く気づいてほしかった…。早速追加で切手を送ることにする。早く判決文が読みたいもんね。この裁判で使用した切手代は、これで累計9630円になる。

ちなみに、「主文」の内容を尋ねるために書記官に電話をした際に、とりいそぎFAXで判決文を送ってもらえないかとお願いしてみたのだが、「送達すべき文書なので、FAXではお送りしてないんですよー」との返事。送達は送達、FAXはFAXだと思うのだけれど、お堅いのですね。

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2006.03.24

判決速報

待ちに待った判決当日。裁判所には行かなかったが、やはり気になったので、書記官に電話して主文だけ先に聞いてみた。

主 文

1. 被告は原告に対し金34万6884円、及び、うち、金29万5787円に対する平成17年4月22日から支払済まで日歩5銭の、うち、金5万1097円に対する平成17年3月23日から支払済まで年5分の、各割合による金員を支払え

2. 原告のその余の請求を棄却する

3. 訴訟費用は10分し、その9を被告の負担とし、その余を原告の負担とする

4. この判決は仮に執行することができる

(聞き書きなので表記や表現に若干の違いはあるのはご容赦いただきたい)

私が請求していた38万5097円のうち、34万6884円が認められた。つまり、この差額である3万8213円が、私が負担すべき原状回復費用ということになる。

貸主からの元々の約40万円の工事費用請求に対して、裁判所はその1割にも満たない金額しか認めなかったとも言える。

これはまさに完全勝利といってよいのではないか。

今日は速報のみ。これから祝杯をあげよう。

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2006.03.23

明日は判決

明日、ようやく判決期日を迎える。

判決期日に出席する必要はないので、簡裁に出向く予定はないのだが、やはり少しでも早く知りたいので、仕事の合間に書記官に電話をして、主文だけでも先に聞いておこうかとも思っている。その場合は、すぐにこのブログでも公開するが、もし連絡ができなかった場合は、判決が届くのを待って公開することになるので、しばしお待ちを。

さて、どんな判決が出ることか。

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